障害年金とその他の社会保障制度の関係

1.「傷病手当金」との関係

「傷病手当金」という名称のものは雇用保険にもあるのですが、ここで取り上げるのは健康保険(中小零細企業の従業員が入るもの)や健康保険組合(大企業の従業員が入るもの)のものです。国民健康保険(自営業の人や働いていない人が入るもの)には傷病手当金はないのです。

お休み中などに怪我をしたり、仕事以外の原因で病気になった時など(私傷病といいます)、仕事ができないときに(労務不能といいます)収入を補う目的で、賃金日額の3分の2が支給されます。治る治らないに関係なく1年6カ月で打ち切りです。

さて、この傷病手当金ですが、障害年金と支給の原因が同じ場合(支給事由が同じといいます)併給はできるのでしょうか。

(注)障害基礎年金のみの場合は併給できますので、障害厚生年金との併給についてです。

できます。ただし、どっちもまるまる受給できるというわけではないのです。例えば傷病手当金と障害年金どちらの要件も満たしていて、傷病手当金の額(1日あたり)が障害年金の額(1日あたり)より多い場合(通常はそうだと思います)、障害年金との差額が傷病手当金から出ます。傷病手当金が障害年金よりも少ない場合は(あまりないことと思いますが)、障害年金の受給開始以降は傷病手当金は支給されません。そんなら~~、傷病手当金をもらいきってから障害年金をもらったほうがいいんじゃないか?と思うかもしれませんが…そうとも言えないんです!

なんでかっていうとですね、傷病手当金と障害年金では、断然、傷病手当金のほうがハードルが低いんです!なんてったって「労務不能」と医師が証明して3日間の待期期間を過ぎれば受給できますから。一方、障害年金はやれ診断書だ、やれ申立書だ、やれ戸籍謄本だと、なんだかんだと時間がかかるのです。もたもたしているうちに、傷病手当金が打ち切りになっちゃった・・・ということになりかねません。目先のことにとらわれずに早めの行動を心掛けるべきです。先々の用心こそ大事なれですよ。でも…という人、心配事があるのならぜひ社会保険労務士にご相談ください!

2.雇用保険・傷病手当金・障害年金の関係

雇用保険の失業給付は会社を辞めたらもらえるもの…ではないんです!働く意思と能力のある人がちゃーんと認定日に管轄ハローワークに時間通りに行った人だけがもらえるのです。(原則)働く意思を表明する方法は役所があれこれ指定します。働く能力のほうは病気・怪我・妊娠・出産でなければそれでいいのです。

ということは…障害年金もらってる人は失業給付をもらえないってことじゃないか!と思うかもしれませんが、そうでもないんです。

併給はできます。障害年金をもらいながら働いている人も多くいます。そういう人が失業した場合、失業給付ももらえます。病気やけがで15日以上職業につけない(働けない)という場合は、「失業給付の代わり」に「傷病手当」が支給されます。日額は同じです。(健康保険にも傷病手当金という名称の給付があるのでややこしいですね!)この傷病手当も障害年金と併給できます。30日以上働けないときは延長手続きをとることになります。ちなみに健康保険の傷病手当金と雇用保険の傷病手当の要件を両方満たしている場合、雇用保険の傷病手当が支給停止となります。失業給付と傷病手当(雇用保険)、傷病手当金(健康保険)は併給できません…自分に関係あることだけど、なにがなにやらとんとわけがわからないという人、事実関係を整理整頓したうえで、ぜひ社会保険労務士にご相談ください!

障害年金での障害状態=雇用保険での病気・怪我=働く能力がない、ではないということなんですね!
とはいえ、怪我や病気が原因で退職した人は雇用保険からの給付は無理な場合もありますので…

3.「生活保護」との関係

生活保護を受給しているからって障害年金の請求ができないなんてことは天地が引っくり返ってもありません。生活保護も障害年金も歴然たる権利でありながら、なぜか申請・請求のハードルが高く、受給していることがなんとなく後ろめたく、世間に顔向けできないような気分にさせられるという点においては仲間です。(制度は全く別ですが、腹違いの兄弟と言えるかもしれません…)生活保護はナマポなどと呼ばれ、バッシングの大嵐に見舞われていますが、憲法で保障された権利です。ただ、生活保護ってのは、収入ときたらなんでも申告しなきゃならなくて、その分が保護費から減額されます。障害年金も収入になります。だからといって、そんなら高い保険料払わなくても生活保護受ければいいんじゃないの~なんて考えはこの際うっちゃってください。障害年金が受給できない人は生活保護が受けられるなんて保障はないんですから!

4.「労災保険」との関係

労災保険というのは、雇用されているほとんどの労働者が加入している公的な社会保険です。「入ってないよ!給料から保険料引かれてないし」という人、労災保険の保険料は会社が全額支払うことになっているのです。”仕事中や通勤途中”に怪我をして重い障害が残った場合、この労災保険から障害(補償)年金がでます。一方、障害(基礎・厚生)年金のほうは、仕事中や通勤途中だろうが、お休み中だろうがいつ・どこでなどは問われません。1~3級の障害状態であると認められれば受給できます。
ってことは…
仕事中や通勤途中の事故であれば、どっちの障害年金ももらえるのか!!と言ったら
そうではないのです。

この場合(障害年金受給の原因が同じということです。事由が同じであるというふうに使います)、障害(基礎・厚生)年金は全額受給できますが、労災保険の障害(補償)年金は減額されるのです。これを併給の調整といいます。
*20歳前障害基礎年金を受給している人に限り、労災保険の障害(補償)年金が支給されている間は障害基礎年金が全額支給停止となります。

労災保険との関係はやや複雑で、こまかいルールもありますので、自分に関係することだがよくわからんな~と思ったらぜひ、社会保険労務士にご相談ください。

5.「介護保険」との関係

きれいさっぱりなんの関係もありません。こころおきなく要介護(要支援)認定の申請をしたり、障害年金請求にまい進するなど前向きにがんばってください。保険者は介護は市区町村、障害年金は国になりますが、どちらの窓口でも凹んだり悲しい気持ちになることがあるので、そんなときにはぜひ社会保険労務士にご相談ください!そうなる前にご相談くださればなおいいと思います。

6.「老齢厚生年金」の障害者特例

60代前半の方がよくボヤいてます。「ちょっとしか年金あたらん」「満額あたらんし少ない…」とか。「ちょっと」ももらえない者からしたら「ちょっとでももらえるんやしいいやん…」と思うのですが。なかには何の話かよく(さっぱり)わからんという人も。でもそれが普通です!石器時代の話ですから!定額部分とか報酬比例部分とか、何の話や?と思いますよ。今の厚生年金まるごと報酬比例やん?と思いませんか?昔々(もうはや30年近く前になります)厚生年金は定額部分と報酬比例部分に分かれていて、男は60歳から女は55歳から支給開始だったのですね。それまで全く別建てだった国民年金と厚生年金を合体させて2階建ての家にして、定額部分を基礎年金(国民年金)ということにして、厚生年金の支給開始も国民年金に合わせて男女とも65歳に揃えたのですが…いっぺんに変えると暴動が起きるかもしれないってんで、男女別にちょっとずつちょっとずつ繰り上げていこうという姑息な手段で変えてるのがいわゆる「60代前半の特別支給の老齢厚生年金」です。前置きだけでこんなに長くなってしまった…

男性は昭和24年4月2日以降、女性は昭和29年4月2日以降に生まれた方は、定額部分がまったくもらえず、報酬比例部分だけなので額が少ないのです。報酬比例部分も支給時期が徐々に引き上げられ、男性が昭和36年4月2日以降、女性が昭和41年4月2日以降に生まれた人はきれいさっぱり1円たりとも「特別支給」などないのですが…

それで、障害者特例ですね。

60代前半の特別支給の老齢厚生年金をもらえる人で、報酬比例部分だけで定額部分がない人、あるいは少ない人が次の2つの条件を満たした場合、報酬比例部分に応じて定額部分が支給されます。

① 厚生年金の被保険者ではないこと

再雇用や継続雇用で働いている方は厚生年金に加入されている場合がほとんどかと思います…

② 障害等級1級から3級に該当する程度の障害の状態にあること

障害年金をもらっていることが条件ではありませんよ!

このように見ていくと、決して「働いていること」=「障害年金はもらえない」ではないのですが、根強い思い込みや間違った知識というのが障害年金請求を阻害しているようです。

自分は無理やろ…と確たる根拠もなくあきらめている人、ぜひ社会保険労務士にご相談ください!

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